「シネマティーック!!」
ゾクゾクする画が撮れた時に叫びたくなることがある。
映像を作り始めてから19年が過ぎた。当時の僕は海外のスキー映像に感化されカッコいい映像を作りたいと熱く燃えていたのだが、どうしてもアノ空気感が出せずに悩んでいたのである。
ヤツら16mmフィルムで撮影してやがった。
貧乏フリーターの僕にはフィルムカメラは手が出せるはずもなく、ビデオカメラであの空気感を再現するべく四苦八苦していたが無理だった。
それ以来いわゆるビデオの生々しい画がトラウマとなり何年も僕に付き纏った。おかげで最近流行りの「ビデオグラファー」という言葉はトラウマを呼び起こされるので僕の口から出すには憚られる。
話をもどすが、被写界深度という言葉を知った僕はDOFアダプターを自作し、一眼のレンズを付けて撮影し、2008年にCANONからEOS5D markIIが出た時はすぐに飛びついた。
とうとう映画画質が手に入ったと思った頃にはヤツらはREDを使ってRAWで撮影してさらに味のある画を作っていた。
その後に発売されたEOS5DmarkIIIにMagic Lanternというあやしいカスタムファームウェアを入れるとRAWで映像が撮れるようになり、これまたすぐに飛びついた。5DmarkIIIを買ったその日にMagic Lanternを入れた(もちろんカメラの保証対象外)。やっと追い求めていた画を手に入れ、色んな山や仕事の現場でRAW映像を撮影した。本当に素晴らしかった。
しかし世の中は無情にも4K、8Kへと移り変わって行った。EOS5DmarkIIIとMagic LanternではHDまでしか撮影できなかったのである。
画素数が全てだとは思わない。だが僕の主戦場である自然は高画素であればあるほどいい画が撮れる。
時代の流れには逆らうことは出来ずSONYのα7RIIを導入した。写真は素晴らしいのだが、映像は納得が行かなかった。高精細でとても綺麗なのだが味が無いのである。画素数だけではどうにもならかった。S-Log2という広いダイナミックレンジで映画っぽい画が撮れる(だいぶ語弊はある)モードでも撮影したのだがRAWに比べると全然色が戻って来ない。1年半ほど悩まされたが解決はしなかった。
「RAWで撮りたいです・・・・・・」
と言う事で18年かかってたどり着いたのがBlackmagic Design URSA Mini Proである。すごく長い文章になってしまったが、ここにたどり着くまでは文章以上に長かった。
URSA Mini手に持った瞬間にズッシリ伝わってくる塊感。「どこがミニやねん」とツッコミを入れたくなるが、先代のURSAと比べると十分にミニなのである。そしてこれはシネマカメラだ。多少の重量は出てくる画とトレードオフだ。だがDSLRから乗り換えた僕にはこの重さは不安だった。しかし重さは何度か山歩きをしているうちに慣れてきた。重いのは変わりないが3000m峰に何度も連れて行った。
撮った画をグレーディングした瞬間「シネマティーック!!」と叫びたくなった。苦労が報われた瞬間である。
Blackmagic Designはオーストラリアの会社で、カラーグレーディングが大好きな社長が、もっとみんなにカラーグレーディングを楽しんでもらうためには、みんなが手を出せる価格帯のカメラが必要だ!と考えて作ったと聞いている。現にPocket Cinema Cameraは一番安い時は5万円代になっていた時があった。コンデジサイズでRAW映像が撮れる素晴らしいカメラで映像を勉強するのにはとてもいいカメラだと思う。RAWで撮ってDaVinci Resolveで色を作る。昔の16mmフィルムカメラみたいに学生はこれで勉強するという立ち位置のカメラだと思う。そしてURSA miniはハイエンドのシネマカメラとしては破格だ。
URSA miniを使うようになってから海外と日本のメーカーのデジタル映像に対する考え方が違うのではないかと感じた。
海外「映画(フィルム)のカメラの延長」 日本「ENG、ビデオカメラの延長」なんだろうと思う。日本のメーカーは圧縮、高画質に力を注ぐし、海外はデータの容量より出てくる絵の質を重視する。日本メーカーも映像の質はもちろん高いが、海外メーカーの質とはベクトルが違ってあくまでもビデオとしての質を追い求めている感が否めない。数字の上ではとてもハイスペックなのだが何かが違うのである。多分であるが、日本メーカーの開発者は自分で映像を撮らない人が考えているのではないだろうか? REDやBMDからは自分たちが撮りたい映像を撮れるカメラが無かったから作ったぜ!という映像の作り手に近い匂いがプンプン感じてくる。ちなみにURSA Miniを導入してから丁度1年が経った。その間色々なメーカーが新しいカメラを発表したが、URSA Mini Proがあれば「10bitなんだ。ふーん」と高みの見物であった。一眼サイズで映画を作れるカメラを作ってやったぜ!この野郎!っていうカメラを日本メーカーにはがんばって出して欲しい。
(と思っていたらBlackmagic DesignからPocket Cinema Camera 4Kが出るという情報が出てきた。BMPCC4Kは完璧なカメラじゃなくてもいいからワクワクするヤツ希望)
全く同じことを思います。
α7s2もすごいなと思いますが
何というかフィルムの質感?
そう質感がursa mini が一番自分にはしっくりきます。(レンズにもよるかもですがw
今頑張ってお金を貯めてるところで
4.6kにするかproにするかで迷っています!!