「それ」が発表されたのは昨年2018年4月の事だった。そう、僕がURSA Mini Proの話をした次の日だ。
どうしてもRAWで映像を撮りたいRAWキチGUYの僕はBlackmagic Desgin URSA Mini ProとVマウントバッテリーという鈍器を担いで山々を歩いていた。まぁ慣れればどうにかなるもんだね~とか思って(思い込んで)いたが、「それ」が手元に来てからは山の上での出番は無くなってしまうほどに衝撃的なモノでありずっと求め続けていたモノだった。

僕がカメラに求めているモノはなんだろう?
1. RAW内部収録が出来る。
2. 出来れば軽い方がいい
3. 4K以上の解像度
4. タイムラプスが撮れる
5. 雰囲気の良いカラーで撮れる
結構絞り出して考えてみたがまぁこんな所だ。そして「まぁこんな所」を満たすカメラが中々無い。URSA Mini Proは重量(主にVマウントバッテリーの)の件を除いては僕の用途にピッタリなカメラだった。
話は元に戻ってそんなカメラが発表されたのだ。そのカメラは「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」長いのでBMPCC4Kとかポケシネたんと呼ばれている。(ちなみに海外情報を集める時はPocket 4Kで検索するのが吉)
僕が求めているモノ全部入り。

「10bit外部収録!」とか「15ストップのダイナミックレンジ(でも8bit)」とかいうワードをドヤ顏で載せてしまう他社を横目に12bit RAW 内部収録をしっかりと載せてくる。UHDではなく本物の4K。しかもバッテリーは大量に持っているCANONのLP-E6。メディアはURSA Miniで使ってたCFast II。マウントは4/3なのでレンズだけ買い増しすればすぐ使える。こんなに嬉しいことはない。
30万円以上が当たり前の昨今に15万円。聞いた話によると殿(グラントCEO)が1000ドルで作れとご乱心されて社員さんが城(会社)が傾きますと打ち首覚悟で訴えたという。その代わりに定価3.5万円のDaVinci Resolve Studioを付けちゃうという太っ腹。プラグイン入れればプレミアでも編集できるとかどうでもいいからさっさとDaVinciにひれ伏せ!とか暴言吐きたくなる。

そして2018年9月も終わりに近づいた頃、僕の手の中にはBMPCC4Kがあった。早速色々な山に一緒に行った。テストやらレビューやらをそっちのけで山に撮影に行った。BMPCC4Kは僕の求めているモノだった。とても手にしっくりくる。
四角いボディにペンタ付けて可動液晶という同じようなデザインが氾濫してる昨今、このカメラ攻め攻めである。一目で見てわかるデザイン。これがとても使いやすいのである。まず目を引くのが大型のモニター。他のカメラが「見やすい3インチ!」が主流のところ5インチ!もう見やすいのなんの。デカイは正義。ポケットに入らないじゃんとか言ってる人はニワカ。外部ディスプレイ無くても全然いける。このボディーの大きさには意味がある。そして他の一眼カメラより一回り大きいがカーボンファイバー・ポリカーボネートで出来ているため見た目に反して軽い。

グリップに集約されたISO / SS / WBと 3つのFANCTIONボタンは使いやすい。撮影中はグリップを握りしめたまま大抵の操作が出来る。ちなみにFANCTIONボタンには「FOCUS ASSIST」「FALSE COLOR」「3D LUT」のON / OFF を割り当てている。

FALSE COLORは特に便利で露出を決める時に重宝している。特に炎天下の下、モニターで見ても明る過ぎるか暗すぎるか自分の目で判断がつかない時、ピンクとグリーンを中心に露出を決めている。わざわざメニューに入って選ぶのはストレスになるのでFANCTIONボタンに割り振っている。

またUIが素晴らしく他社さんにはぜひ見ならってもらいたい。各機能ごとに簡潔にまとめられている。あの機能どこのページにあったっけなどということが無く必要な機能に迷わずアクセスできる。大きな画面と相まって本当にすばらしい。
そしてこのカメラの一番の魅力はBlackmagic RAW(以下BRAW)というBMDが産み出したRAWフォーマット。今まではCinema DNGと言って画像の連番ファイルで記録していた。BRAWはCDNGなど従来のRAWファイルやMP4などの圧縮コーデックの欠点を克服しつつバランスの良いRAWファイルとなっている。ある程度カメラ内で処理をして撮影をし、編集時のPCの負担を減らしている。RAW編集には高性能のPCが必要というのも過去の物になった(とは言っても性能が良いに越した事はない)
「RAW映像は軽い!」そうBlackmagic RAWならね。

約1年使ってきて完全に僕のカラダの一部になっている。こんなカメラはEOS5D mark III + Magic Lantern 以来だ。
僕にジャストフィットしたBMPCC4Kは“他社”が新製品を発表しても高みの見物をしていられる最高のカメラだ。他社はあくまでもムービーが撮れるスチールカメラの域を出ていないからだ。(シグマのFPだけはBMPCC4Kや映画を撮りたい人をよく研究しているので気になる)
しかし高みの見物をしていられるのは”他社”の発表だけだった。

おでこにきらめく”6K”のエンブレム。
「Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K」
こりゃ完全に不意打ち。おかえりEFマウント。8Kまではがんばって付いて行くよ。